心房細動のアブレーション治療
心房細動のアブレーションの方法

ベットの上に寝ていただき、太ももの付け根と頚の付け根を消毒しそこに痛み止めの局所麻酔をして、カテーテルを挿入します。

同時に静脈麻酔を開始し、患者さんは次第に眠ってしまいます。

心房細動のメカニズムのところでもお示ししたように、肺静脈という血管の中に心房細動の原因の9割は存在しますので、肺静脈の左心房との付け根の周りを、肺静脈を囲むように焼灼します。図に示した上下肺静脈を同時に隔離する焼灼ライン(上図ピンク)は当院循環器部長 高橋 淳(たかはし あつし)が独自に考案した方法です。

焼灼した箇所は電気が通れませんので、肺静脈が電気的に心臓と切り離され(電気的肺静脈隔離)、肺静脈の中で異常な興奮が起こっても、心臓の中に伝わらず、心房細動が起こらなくなります。

しかしながらこの電気的肺静脈隔離は技術的に困難であり、安全に遂行するためには経験と知識が必要とされます。
上図は当院の高橋 淳(たかはしあつし)循環器部長が心房細動アブレーションのメッカであるフランスボルドー大学への留学から帰国後、考案した独自の心房細動アブレーション法です。

従来は一本ずつ肺静脈を隔離していました。しかしそれでは肺静脈狭窄等の合併症が生じてしまい、尚且つ肺静脈開口部周囲の心房細動興奮部位を取り逃してしまい、結果として心房細動根治率が50%程度でありました。

それを改善すべく、左右それぞれの肺静脈を上下同時に広範囲に焼灼することにより、心房細動根治率が格段に改善し(最終根治率90%)、肺静脈狭窄の合併症も起こらないようになったのです。
(2002年日本循環器学会、北米心臓ペーシング学会等で発表)

しかしながら、広範囲に焼灼するためにその技術はさらに困難となり、一般化しにくく、高い成功率は限られた施設のみでしか維持不能となっています。
上図は実際にリング状のカテーテルを肺静脈に挿入し、肺静脈の電気活動を見ながら隔離しているところです。左から4つ目のところで、上下肺静脈の電気活動が同時に消失し、肺静脈電位が左心房から隔離されています。
心房粗動アブレーション:
心房細動治療として肺静脈隔離終了後、心房細動患者さんの多くが心房粗動も合併しているので心房粗動の治療も同時に行います。心房粗動は右心房の三尖弁輪の周囲を旋回しているので、その回路の一部を線状に焼灼します(上図ピンク)。
慢性心房細動は心房細動を引き起こす部位が肺静脈だけでなく、心房の他の部位にも広がっています。

そのため発作性心房細動で行うアブレーション(上図ミドリ線)に加え、電気的上大静脈隔離、ピンク線で示す線状焼灼あるいは高頻度異常興奮部位の焼灼が必要とすることもあります(心房基質アブレーション)。焼灼部位が広範囲になるため、発作性心房細動に比較して更に技術的に困難になり、手術時間が長くなる場合があります。
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