本法の合併症は以下のようなものです。
脳血栓塞栓症:0.24% (4/1657人)

元々心臓の中にあった血栓やカテーテルに付着した血栓等が、手術中や術後に飛んで、脳の血管につまり脳梗塞を起こすことがあります。

血栓塞栓症対策として、最低でも1ヶ月は術前に血液をサラサラにするワーファリンという薬を飲んでいただき、術中にも血液をサラサラにする注射(ヘパリン)を投与し、かつ心臓の動きが活発になって血液の塊ができにくくなる薬を使っています。ワーファリンは入院直前に中止していただきます。(これは当科部長が考案した方法で2006年日本循環器学会総会で発表しました)

心タンポナーデ:0.6% (10/1657人)

焼灼により心筋が脆弱となり、その部位より血液が心臓の外へ漏れ出し、心臓の周りに溜まり、心臓そのものを圧迫して、血圧が下がったり、脈拍が遅くなったりしてショック状態となることです。そういうことが起これば、その溜まった血液を抜いて心臓の圧迫を解除します。そうすれば出血は自然にとまり、ほとんど事なきを得ます。
(当院での心タンポナーデをまとめて2008年日本循環器学会総会で報告しました)
食道迷走神経障害: 0.24% (4/1657人)

心臓を焼灼した際にその熱が心臓の真裏にある、食道迷走神経に伝わり、神経障害が起こり、胃が動かなくなった人が3人います。4人の内3人は自然に症状は改善しましたが、1人は改善せず、外科的に胃を切除しました。

現在では食道に温度計を挿入し、温度を測定しながら焼灼し、温度が上昇すれば通電を一旦中止しています。(これは当院独自の対策方法で2005~2007年日本循環器学会総会等で当院桑原医長が発表しました。)


肺動脈血栓梗塞症: 0.06% (1/1657人)
大腿静脈血栓症:0.06% (1/1657人)

術後に安静のために臥床していたことにより、足の静脈に血栓が形成され、術翌日に肺動脈に血栓がつまった人がいます。いわゆる飛行機に乗ったときに起こるエコノミー症候群と同じことが起こりえます。

対策として下腿に弾性ストッキング及びケンドール(電動で下肢をマッサージする機械)を履いていただくことにより、血栓形成を予防しています。


横隔膜麻痺: 0.36
% (6/1657人)

右横隔膜を動かす神経がどうしても焼灼しなくてはならない、右肺静脈の近くを走行しており、焼灼後に右横隔膜が動かなくなることがあります。ほとんどの方は一過性で、症状は認められませんが、まれに麻痺が持続する方がいます。
対策として右肺静脈近傍を焼灼する場合には、電気刺激により横隔膜神経の走行を確認しています。

造影剤アレルギー: 2-3%

肺静脈の解剖を観察する際に造影剤を使用します。それにより2-3%で嘔気、1/2500人に血圧低下、呼吸困難、1/20万人にアナフィラキシーショックで亡くなる様な方がいます。

穿刺部内出血: 5%

太ももの付け根の大腿静脈にカテーテルを挿入しますが、手術終了後はカテーテルを抜いて止血します。術2日から7日後に太ももに大きな内出血の跡ができるような人がいます。しばらくすると完全に消えてなくなります。
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